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2017-08

少年Rの道すがら物語 2 - 2013.02.08 Fri



     
2013  0209   SATUR DAY
 

     小話  
||||| 
少年 R の道 vol2   |||||

      20130205daisen4376.jpg
 

    少年 R の 道すがら 物語  VOL,2


その小さな青い惑星は、半分が昼でもう半分が夜でした。
その昼と夜の境目のひとつが朝で、もうひとつが夕方というわけです。

少年R と 山をよく知る男 のふたりの旅は、
その朝の境目に出て、夕方の境目には帰ってくるという短い旅でしたが
その間に小さな惑星は一回転の半分を回ったことになります。

彼ら二人が、上がって下りてきた山は、
その小さな惑星の無数にある小さなしわの1つに過ぎませんでしたが、
もっと小さな彼らにとっては空に至る大きな山に見えました。


少年Rが着いてみると、
そこは真っ白な大地に、真っ白な森がひろがっていて、
その向こうに白い大きな山が光っていました。


20130205rendaisenwb4456.jpg


山をよく知る男は、
少年Rに、鋭く尖った靴や杖を身に付けるよう言いました。

それらは凍った山を登るために必要な道具でしたが、
それはまた、ここへ帰ってくるための道具でもありました。
つまりそれは生きるために必要な道具でした。

世界には様々な道具があふれていますが、
命につける道具はそうあるものではありません。

靴も杖もその鋭い先端は、猛獣の爪のようにも牙のようにも見えましたし
それはまた一撃で命を奪う武器のようにも見えました。

このときになって少年Rは、
ちょっと怖くなって胸がドキドキしてきました。

そんな少年Rの様子を見てとった " 山をよく知る男 " は、
このときこの日初めて微笑んでいたようでした。

 よし、それでいいだろう。

 さぁ、行くか。


20130205daisen4403.jpg  


山をよく知る男は、
雪と氷のが凍てついた大地を しばらく先導して歩きました。
この道にはこの道の歩き方があったからです。

この道‥と言いましたが、
ほんとうのところ、彼らの前に道らしいものはありませんでした。
どこもかしこも真っ白な雪におおわれていましたから。

その雪の大地を、
山をよく知る男は、まるで見えない道が見えているかのように
一歩一歩、迷いなき歩を進めていきます。

うしろを歩き続けていた少年Rは、
いつのまにか汗が噴き出しカラダが燃えて息が苦しくなっていました。
いくら吸い込んでも大気が足りません。

何度も、もう歩けないと思いましたが、
驚いたことに、それでも自分のカラダはずっと歩き続けていました。
自分の心とは別にカラダが動いているようでした。

このとき、生まれて初めて、
少年Rは、自分のカラダのことをちょっと誇らしく思えてきて‥
それからは歩くのがちょっと楽になりました。



20130205daisen4418.jpg  


なおも歩き続けて行くと、
一歩進むごとに、少しづつ、静かに、視界が広がってきました。

山をよく知る男は立ち止まり、
少年Rに前に出て先を歩くよう指示しました。

前に出た少年Rは、たちまち戸惑いました。
彼のまわりはどこも真っ白な雪ばかりで道らしい道がありません。

ふと顔をあげて遠方を望むと、
その先に、それよりは高いところがないところが見えました。

すると考える間もなく少年Rは歩き始めていました。



20130205daisen4425.jpg


今では彼の前には道がありましたから、
少年Rは一歩を、そしてまた一歩を踏んで進んでいました。

歩き続けていくうちに、もう始めも終わりもなくなってきて、
ただただ一歩のことだけを考えて歩いていました。

そうして、ふと唐突に、
その一歩の次で、道が終わったことを知りました。
そこからはどこにも上へつづく大地がなかったからです。

少年Rは、胸の悲鳴がおさまるころになって、やっと顔をあげると
辺りを見渡しました。

そこには、
かつて見たことがない姿の大地と空だけが、音もなく、果てしなく、
ひろがっていて、波打つ雲の海が山から流れ落ちていました。

しばらくの間、少年Rはその光景をただ黙して眺めていました。

彼が魅せられていた光景は、
静かに転がる小さな青い惑星の素顔でした。



20130205daisen4459.jpg


こうしてふたりの旅は終わりました。

帰ってきてから少年Rは、家族や親しい人にこう言ったそうです。

 着いたら、まわりは真っ白で‥
 登って行ったら、そこは・・白ばっかりになって‥

 もう、何もかもが‥ 
 ほんとうに真っ白になった。

 あんなに‥
 広い‥白い‥世界は見たことがなかった。

 とても‥キレイだった。


少年Rは、
自分の想いを語るに十分な言葉を知りませんでしたが、
それを言うならば、この世の中には、
一片の想いもなく言葉だけを並べ立てて語る人がなんと多いことか。
 
あふれんばかりの気持ちを、拙い言葉でつづる少年のことばは、
どこか詩のようなチカラと美しさを放っていました。



20130205daisen4502.jpg


こうして 少年R と 山をよく知る男 の、
たった半日の、ふたりが歩いた道の物語は終わりました。

山を下りてきた 山をよく知る男 は、
道具を片付けながら、ひとこと私にこう言ってくれました。

  実に 楽しい 山だったな。



 |||||||||||||||||||||||||| 雪と岩と空と |||||||||||||||||||||||||||||


 少年Rはこの日生まれて初めて、
 彼が、ほんとうの道を歩いた日になったはずです。

 なぜなら
 かれが道のないところを歩き、
 彼の歩いたあとに道ができましたから。

 上がって下りてくるだけの道ではありましたが、
 その実、彼の歩いた道はあの山頂を越えてなおつづいていて、
 今も彼は、その延長を歩いているのですが‥

 少年Rがそのことに気づくのには、
 まだまだ先のこととなるでしょう。

 なんといっても、まだ よちよち歩き の一歩ですから。
 

  追記: この物語のなかの写真は、
      山をよく知る男によって撮られた写真です。
      なかなかいい写真があってビックリ(失礼)。




  
||||||||||||||||| 秘密のおまけ |||||||||||||||||


ほんとうは秘密にすべきことなのですが、
実はこの日、少年Rの友だちたちはいつものように小さな教室の中で
いつものように座って過ごしていました。

だからこの日、少年Rと山を知る男は、
世の中の " きまりごと " を破ってしまったことになります。

少年Rは、これまでにもたびたび " きまりごと " を破って、
その度に、おとなたちから怒られ睨まれつづけてきたのですが、

どうか おとなのみなさん、
この日の少年と山を知る男が " きまりごと " を破ってまで試みたことに
拍手を贈っていただけたら‥

  それが無理なら、
  せめて見て見ぬふりをしていただけたら。







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● COMMENT ●

胸を撃たれる良い話でした。
良き教育者であったなら
幾度も
試みようとあがいた経験も
あがき疲れた経験も
それでもまた試みてみようとした経験も
あるに違いない。

唯、不幸なことに
圧倒的に多いのは
試みることも あがくこともしない
教師が 余りにも多すぎること。

それらの教師のもっとも得意とする台詞は
「われわれは ずっと彼らに寄り添っている。
彼らが気付き 彼ら自身があがきながら
自分の道を一歩前に進む・・その手助けをしたい。
前出て手を引いたり 後ろに回って そっと後押しをしたりしたい。
それこそが自主性 主体性を育てる我々の選ぶ教育の道だ」

笑わせるのではない。
自分達の甘美な言葉に酔いしれて
大義名分を傘に≪指導放棄≫を続ける日教組の諸君!
真の教師とは「山を知る男」のような教師を言うのだ。
奇しくも今日の俺のブログに登場した田舎の教師のような人を言うのだ。
「少年R」と「山を知る男」が 感じ得た感動は
自己保身と勤務待遇に奔走するお前達には決して味わえない。
見るがいい、今後の「少年R」の輝いた目の光と彼の行く末を。
それが真の教育の力だ。

北さんへ

なんか、えらいこと共感いただいて‥恐縮しています。

ほんとうのところ‥この国の子どもが育つ環境は、学校を始めとして家庭も社会も
なかなかタイヘンなことになってきているようです。

体制をどうかするチカラはありませんが、
ひとつひとつ、種をまいてまたその種をふやしてゆくことしかできませんが、
ちょっと、われわれががんばらないといかんな・・と感じております。

きっと、あの構造的体制の中では、
学校の先生もタイヘンなんだろうな‥と最近思うようにもなりました。

みんな、いっしょに、なにかができたらいいのにね。

天狗さんへ

ワタシは 小さな教室から飛び出れなかったのですが
長い人生 チョッと横道にそれても 遠回りをしても
いいのでは???
世の中の約束事は 法に触れることで破ってはいけないけれど
こんな心が ドキドキするときはOKですよね
R君は 我々の年になった時に きっと若い人に
自分の経験したことを 優しい心で伝えてくれることでしょうね

まりもさんへ

思うに、法律や規則って・・
その主旨は最低限の社会性や人間性をまもる仕組みと思えば、
ときに、より良き手段と目的はそれを越えて良しかと。

でもまぁ〜こんなことは、
あまり大きな声で世間に向かって言うものでもないでしょうから
ここぞというときにはただただその時その場の心意気でGO!

少年Rもまだまだ途上の道にあり。
彼が自分の人生を自分で歩くには、まだまだ経験も時間も足りません。
ここは我々がなんとか関わらねば‥ね。

まりもさん!
なによりもこの少年Rって、なかなかオモシロイ男なんです。
不良のくせに、どこか内省的で朴訥として、エエ味出してます。


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