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2017-04

棚田ホタル:月光編 - 2009.07.04 Sat


  |||||||||||||
土佐 本山 樫の谷 ||||||||||||||

     ‥‥‥* 畦  歩 *‥‥‥‥
              

   azeho dia
ry
     天 狗 里 山 絵 巻
 


 7月1日 水曜日、午後7時30分‥ごろ。

 全天を雨雲が覆っているため、吉延の棚田はすっかり暗くなり。


天上での駆け引きに女神が微笑んだのか、先ほどまで降り続いていた雨が
静かにあがったのだが、わたしたちはまだしばらく‥半信半疑で空を伺い
ながら


   ・・・・ やんだか?

 うん‥ 

   やんだ‥かな。

   ・・・・ やんだ みたいねぇ~。

 

そうして皆はやっと‥おそるおそる傘をたたんだのでありました。
しかし空は、いつご機嫌を損ねるかわからないほどの暗雲が立ちこめて
黒い稜線を切る雲ゆきの足が速い。

大のおとな5人が、真っ暗な棚田の畦道に佇んで不安と期待を計りつつ‥
ことば少なに辺りを伺う。

 
 ホタル‥ 

   ・・・ 飛びますかね?


  ん~~ん。

     これだけ 雨が降ったあとは・・・


 ・・・・・。

     空気が、重いからねぇ‥ 

   どうかな?



かすかな期待が、深まる闇とともに消えつつあった。
なんとなく「 もう帰ろうぜ空気 」が漂ってきた、そのとき‥
最初に声を上げたのは田岡さんだったか?

 あそこ‥

  あそこに光っちゅうアレ、ホタルやないか?
 
  えっ?  どこ?

田岡さんと思われる真っ黒な人影が、歩むその後を追うと‥
棚田の畦に立つ‥柿木?‥らしい木立が一本。

田岡さんはその木の陰を覗き込んでいる。


 あっ! ‥光った!

  ホ‥ ホタルや。 ホタルが光っとる!

 そっちにも光っとるぞ!

  いや‥こっちにも!

  ・・・・・ けっこういるぞ。


 02.jpg
                   PHOTO by  中島 健蔵    090701


 来て良かった。

 家族の「つき合いきれんな視線」が背中に突き刺さり‥
 こころ満身創痍になりながら‥ここまで来てほんとうに良かった。

 
  ‥‥‥‥‥‥‥ azeho ‥‥‥‥‥‥‥‥

 
 そのあとも‥
 畦の茂みや田んぼの中のあちこちにホタルの明滅する燐光を次々と
 見つけたのだが‥

 なぜか‥みな飛ばず、ひとところにいて動く気配がない。
 心なしか光も弱く感じられる。
 やはり、さっきまでの豪雨でホタルもお祭り気分ではないらしい。

 ならば‥ 少々手荒いが、こちらにも打つ手はある。

    んじゃ~ 

     車のハザード・ランプを点けて!

 私と中島氏の二台のクルマのオレンジ色のランプが、
 テッカ‥テッカ‥テッカ‥ と、暗い棚田を二拍子で照らすと‥

 おぉ~‥ なんということか!
 木陰や畦や田んぼの中から、ホタルが次々と舞い上がってくる!
 そのホタルたちがみな‥こちらへ向かって飛んでくる。
 ハアードランプの明滅に刺激されてるらしい。

 あぁ~ ‥ かわいい奴らじゃ。

 ‥と、今ぞこのとき、‥とばかりに中島氏が三脚を据えてカメラを
 構えて、長時間露光撮影のために、一時ハザードランプを消すと‥

 あれ? ‥‥ホタルも、消える。

 ・・・?

 どうやら‥それが、
 あの嵐を越えた今夜のホタルの精一杯の演舞らしかった。

 時刻は、もう午後9時ごろだったか。
 今宵はこれまでであろう ‥と店じまいの気持ち固まりしとき、
 田岡さんが、さらなる作戦をもちかけてきた。


  うちの家の近くにも‥ホタルが飛ぶところあるきに、
 
   そっちへも寄ってみるかえ?


 お別れムードに寂しさ募ってきたわれわれが、こんな申し出を
 断れるだろうか‥いや、断れはしない(強調の反語)

 そしてこのとき、今宵の天上の女神は‥
 ささやかなる‥もうひとつの奇跡の切り札を‥棚田ひろがる里山の
 テーブルの上にきっていたのでありました。


  ||||||||||||||||||||||||||||||||| azeho 
|||||||||||||||||||||||||||||||||



 みなそれぞれのクルマで田岡さんの小さな白い軽トラの後に連なり、
 5分ほど走ったところで停車。

 さきほど居たところから山をジグザグと登って視界が開けてきた。
 はやる気持ちに押され‥クルマを降りたとき‥

 眼前にひろがるその光景に‥ひととき声を失った。
 
 なんと‥ 美しい。

 垂れ込めていた雨雲が空から消えつつあり、そのはるか高みにたなびく
 青白い雲の合間から、半月の青い光が目の前の遠景を照らしていた。




 002.jpg
                    PHOTO  by  中島 健蔵 


 この‥音もなく目の前に浮かびつつある深遠なる光景を目前にして
 中島氏も、小さく‥

   「 これは・・・ 」との声が胸に消え‥

 静かにカメラをセットして‥

 私はと言えば、ふと我にかえり‥

    中島さん‥予備のバッテリー 貸して!

 ‥と小さな声で叫んでいた。



 
  ||||||||||||||||||||||||||||||||| azeho |||||||||||||||||||||||||||||||||



 ‥で、おかげさまで、
 私もこのささやかな奇跡の一瞬にシャッターをきれたのだが、
 その写真のデキは‥
 とてもささやかな奇跡とも言えないシロモノであった(涙)。

 上の写真は、中島氏から送っていただいた見事な一葉だが‥
 つづいて私の写真を連ねるのは、まっこと恥ずかしいのだが、
 これも里山記録者として、その責務を果たそう。

 
     090701tanada1091.jpg
 


 皆の‥温かき苦笑が聞こえてきそう。

 さて‥われわれは‥
 来たる7月5日 日曜日の夕刻、同じメンバーで‥
 再度‥里山ホタルへ集結する予定である。

 次こそは‥ “ この一枚 " をモノにしてみせるぞ。






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● COMMENT ●

正に一期一会

日本とは美しい国ですなぁ~。

>> 河童氏

初コメントに感謝!

日本の野山の美しさ、そして人との関わりある里山の美しさ、そして日本人ゆえに感じる美しさ、‥というものがありますね。

でも今の日本人、天気がいいときでないとお出かけしない民族になってしまいましたね。雨や嵐に沈む‥さらには雷光が垣間見せる森や山がなんと美しいことか!

ともにまた。


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